女性型脱毛症とは
女性では頭頂部の広い範囲の髪が薄くなるパターンとして観察されます。発症時期についても男性とは異なり、更年期に起こります。女性型脱毛症はかつて女性の男性型脱毛症(Female androgenetic alopecia, 以下FAGA)と呼ばれていました。ところが男性ホルモンが病態に関与しないものも含め、現在では「FPHL(female pattern hair loss)」という病名を用いられることも多くなっています。しかし専門的でわかりにくいため、ここではFAGAと呼ぶことにします。FAGAの分類はLudwigの分類が有名で、図に示すように3段階にわけられます。当院の標準治療はミノキシジル外用液とスピロノラクトン内服の併用です。スピロノラクトンは高圧薬として用いられる薬剤ですが、抗アンドロゲン作用を有し、脱毛を防ぐ効果があります。つまりミノキシジル外用薬で発毛を促し、スピロノラクトンで脱毛を防ぐという方針です。なお、市販の育毛剤には全く効果はありませんのでご注意ください。
FAGAの治療費
内服薬
スピロノラクトン25mg 100錠 | 5,500円(税込) |
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外用薬
ミノキシジル外用液1%60mL(FCI) | 3,850円(税込) |
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女性型脱毛症(FAGA)の治療は自由診療であり、診察料も保険適応外となります。
下記診察料を申し受けます。予めご了承ください。
●初診料3,300円(税込) ●再診料1,100円(税込)
※各種クレジットカードがご利用いただけます。
※最終受診日から6ヵ月を超えた場合は初診扱いとなります。
洗髪のしすぎに注意
日々の診療を通じて髪が細い女性が多いことに気がつきます。薄毛を改善させるには髪を「増やす」「太くする」この2つしかありません。薄毛に悩む若年~中年女性はほぼ例外なく髪が細いです。意外と見落とされがちですが、髪の本数(密度)よりも太さの方が重要であることが報告されています(文献1)
なぜ現代女性(特に日本人女性)は薄毛に悩まされるのでしょうか。その答えの1つは洗髪のしすぎにあると考えられます。多くの女性は1日1回洗髪しているでしょうが、日本人だけの習慣と言われています。例えばフランスでは洗髪は週2回程度であり、毎日洗髪するのは世界的に見ても当たり前の習慣ではありません。必要以上に洗髪をすることは天然保湿因子を洗い落してしまい、髪や頭皮を痛めてしまいます。本来ヒトの髪や皮膚は石鹸やシャンプーで洗うことを想定してできていません。また洗髪後のドライヤー、ヘアカラー、パーマなどが追い打ちをかけます。髪を牽引するような髪型も持続的な炎症を引き起こす原因になります。頭皮の炎症が長引くとヘアサイクルが短くなり、髪が細くなると推察されます。
各メーカーはシャンプーが売れなくなると困るため「天然うるおい成分配合」「育毛成分配合」などと毎日の洗髪を推奨するわけですが、あまりお勧めできません。とはいえ毎日の洗髪を突然止めるのは抵抗があるでしょう。そこで1つの提案として、シャンプーを使った洗髪は2日に1回程度にし(ゴシゴシ頭皮を洗わない)、シャンプーを使わない日はぬるま湯で優しく洗髪をすることをお勧めします。髪や頭皮を痛めるような強いマッサージ、ヘアカラー、パーマなどはほどほどにしておきましょう。過剰な頭皮ケアを止めることは自身のポテンシャルを引き出す方法です。節約効果もありますし、副作用のないおトクな薄毛対策と言えるでしょう。
(文献1)Ishino A et al. Contribution of hair density and hair diameter to the appearance and progression of androgenetic alopecia in Japanese men. Br J Dermatol. 2014;171:1052-9.
Key Points
①薄毛治療では髪を「増やす」よりも「太くする」方が重要性が高い
②過剰な頭皮ケアは髪や頭皮を痛め、髪が細くなり薄毛の原因になりうる