アトピー性皮膚炎の治療 (当院の方針)

アトピー性皮膚炎には「標準治療」が存在します。ドクターショッピングはあまり良いことではありませんが、主治医との相性が大切です。当院の方針が合わないと感じたら医療機関を変えることも必要だと思います。ステロイド外用薬を使わない治療は、診療ガイドライン(標準治療)から大きく逸脱するものであり、当院では行っておりません。

当院では初診のあとは必ず1週間後に来院いただき、その後は症状に応じて定期通院をお願いしています。重要なことは「ステロイド外用薬の適正使用」と「定期受診」この2点に尽きます。残念ながら実際の診療では1人1人に十分な時間をかけられないこともあります。しかし、それをカバーするため、看護師が適切な外用指導ができるよう定期的に勉強会を行っております。

アトピー性皮膚炎Q&A

Q. アトピー性皮膚炎は治すのが難しいのでしょうか?

A. いいえ。適切な治療をすればコントロールが容易な疾患です。

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適切な治療とは十分な強さのステロイド外用薬で炎症を完全に消失させることです。ステロイド外用薬を使っても効果不十分、あるいは再燃を繰り返す患者さんには共通のパターンがあります。

①炎症を抑えることのできない弱いステロイドを使っている(または外用量が不十分)
②炎症が完全に消失する前に外用をやめてしまう
③定期通院を自己判断で止めてしまう

この3点のいずれかに当てはまることが多いです。特に外用中止のタイミングを間違えるケースが多く、外用指導を何度も繰り返し受ける必要があります。

Q. 初診から1週間後の再診は必須ですか?

A. 1週間後に再診することで結果が大きく変わります。

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アトピー性皮膚炎で初めて当院を受診された患者さんには、必ず1週間後の再診をお願いしています(すでに寛解状態の場合を除く)。その理由は 1週間後に臨床評価・治療評価・副作用の有無・外用薬の使用状況などをチェックするためです。これらのチェック項目に基づいて、治療方針の軌道修正を行うと同時に今後の見通しをつけ、次回までの課題を出します。こうした小さな積み重ねが、きわめて大きな差を生みます。おおよその通院の目安は次のようになります。

通院の目安の図

Q. アトピー性皮膚炎の治療で最も大切なことは何でしょうか?

A. 良い状態か否か診てもらうために定期受診することだと思います。

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最も大切なことは悪い状態で受診するのではなく、良い状態かどうか診てもらうために定期受診することです。
例えば、ピアノ教室に通う人は自宅で十分に個人練習をしてからレッスンを受けるはずです。個人練習の出来を先生にチェックしてもらうわけです。練習をしないで教室に通っても上達は望めません。アトピー性皮膚炎の治療も同じです。炎症は残っていないか、副作用は出ていないか、自宅で正しく外用できているかどうかチェックを受けるために皮膚科を受診するのです。悪い状態を診てもらうために受診するのではありません。

状態が悪くなれば医療機関にかかるのは普通のことですが、アトピー性皮膚炎ではそれが当てはまりません。アトピー性皮膚炎は生命予後が良好な疾患ですから、目標到達点が人によって多少異なる可能性があります。そうであっても、アトピー性皮膚炎は完全寛解を目指すべきだと考えています。なぜなら、炎症を完全に抑えてしまえば、再燃までの期間が長く、かつ再燃しても症状は軽度で済むうえ、治療を再開すればすぐに炎症を抑えることができるからです。ステロイドの累積使用量も最小限に抑えることができます。

飛行機で言えば高度11000メートルの燃費の良い安定飛行に例えられます。この安定飛行が継続できれば、重力や空気抵抗は次第に小さくなり、最後には自らの慣性で飛び続けることができるようになります。当院では寛解状態にするだけでなく、それを維持するための外用スキルの習得を目指します。スキルを身につけてしまえば、自分自身でアトピー性皮膚炎をコントロールできるようになります。

アトピー性皮膚炎の治療は患者さんに正しい教育・指導をすることから始まります。教育は強制から始まるものと考えます。強制というと驚かれるかもしれませんが、たとえば子供に九九を教えたり、ひらがなを覚えさせることは本人のやる気・意思など関係なく強制的に叩き込むべきものです。この点に関してはアトピー性皮膚炎の患者さんも同じです。

最初は私達が背中を後押しすることから始まり、定期受診(強制)を通じて、また実際に治癒過程を体験しながら説明を受けることで理解は格段に深まります。それは座学では得られないものです。標準治療を徹底させる過程で、問題点の抽出、その傾向と対策、動機づけを行うことが定期受診の主な目的です。これを不定期な受診で実現することは不可能です。
特に自己判断で定期通院を止めてしまう人は再燃を繰り返す傾向が強く、長期的に見れば悪循環から抜け出すことができません。また皮膚症状は日々変化しますので状況に応じた指導も必要になります。良い状態であっても定期受診をすすめる理由がここにあります。重症例では時間がかかることもありますが、寛解維持を継続することで最終的には定期受診を必要としなくなる状態になっていきます。