女性の薄毛(FAGA)

女性型脱毛症とは

女性では頭頂部の広い範囲の髪が薄くなるパターンとして観察されます。発症時期についても男性とは異なり、更年期に起こります。女性型脱毛症はかつて女性の男性型脱毛症(Female androgenetic alopecia, 以下FAGA)と呼ばれていました。ところが男性ホルモンが病態に関与しないものも含め、現在では「FPHL(female pattern hair loss)」という病名を用いられることも多くなっています。しかし専門的でわかりにくいため、ここではFAGAと呼ぶことにします。FAGAの分類はLudwigの分類が有名で、図に示すように3段階にわけられます。当院の標準治療はミノキシジル外用液とスピロノラクトン内服の併用です。スピロノラクトンは高圧薬として用いられる薬剤ですが、抗アンドロゲン作用を有し、脱毛を防ぐ効果があります。つまりミノキシジル外用薬で発毛を促し、スピロノラクトンで脱毛を防ぐという方針です。なお、市販の育毛剤には全く効果はありませんのでご注意ください。

FAGAの治療費

スピロノラクトン25mg 100錠(国内製)5,500円(税込)
ミノキシジル2.5mg 100錠(海外製)11,000円(税込)

※スピロノラクトンは1日2錠内服してください。
※ミノキシジル内服(海外製)を希望される方はホームページの「ミノキシジル内服の有用性」の記事を必ず一読ください。同意書をダウンロードし、必要事項を記入して来院ください。

ミノキシジル外用液1%60mL(国内製)3,850円(税込)
ミノキシジル外用液5%60mL(国内製)4,950円(税込)

※通常は女性には1%が使われますが、最新のレビュー論文には男女ともに5%が推奨されると記載されています。

初診料3,300円(税込)
再診料1,100円(税込)

※女性型脱毛症(FAGA)治療は自由診療であり、診察料も保険適応外となります。
※海外製ミノキシジルは医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
※各種クレジットカードがご利用いただけます。
※最終受診日から12ヵ月(365日)を超えた場合は初診扱いとなります。

ミノキシジル外用薬の有用性

ミノキシジル外用薬(以下TMS: topical minoxidil solution)は女性の薄毛(FAGA)の治療薬のゴールドスタンダードです。TMSを除く市販の育毛剤に医学的根拠はありません。ミノキシジルの歴史は古く、1979年に高血圧の内服薬として米国FDAに認可されました。ところが副作用として全身の多毛が認められ、それ以降は発毛剤として転用されるようになりました。

1988年には男性の薄毛(AGA)に対して2%TMSが開発され、FDAの承認を受けました。その後25年間にわたり臨床試験が重ねられ、AGAには5%TMS、FAGAには2%TMSがFDAの承認を受けました。海外と日本では使われる濃度が多少異なり、日本では女性には1%TMSが使われてきました。

2025年の最新のレビュー論文に「男女ともに5%TMSが推奨される」と記載されました。女性にも5%TMSは安全に使用できるとしています。また、同論文では多くの患者がTMSの有効性を軽視しているケースが多く、正しく外用できていないことや、外用アドヒアランスが低い(規定通り1日2回外用していない)ことを指摘しています(文献1)。当院でも使い始めてはみたものの、効果がないと自己判断で中断してしまうことも多い印象です。しかし、実際に毎日欠かさず外用し、写真を撮って評価をすればかなりの有効性です。52名のFAGAを対象とした海外の研究では、ミノキシジル1mg内服群26名と5%TMS外用群26名のランダム化比較試験で24週後の臨床効果に差がなかったことが報告されています(文献2)。少人数のオープン試験であり、参考程度にしかなりませんがTMSも十分な有効性があるのは確かです。

Key Points

①TMSは発毛剤の第一選択として推奨される

②日本では女性には1%TMSが使われてきたが、男女ともに5%TMSが推奨される

※特に申し出がない限り、女性には従来通り1%TMSを処方しますが、ご希望があれば5%TMSの処方も可能です。診察時にご相談ください。

(文献1)Olsen EA et al. Summation and recommendations for the safe and effective use of topical and oral minoxidil. J Am Acad Dermatol. 2025;93:457-465.
(文献2)Ramos PM et al. Minoxidil 1 mg oral versus minoxidil 5% topical solution for the treatment of female-pattern hair loss: A randomized clinical trial. J Am Acad Dermatol. 2020;82:252-253.

ミノキシジル外用の重要ポイント

前回の記事ではミノキシジル外用薬(TMS)の有用性について述べました。しかし、正しく使用できなければ意味がありません。最新のレビュー論文(文献1)を参考に外用のポイントをまとめました。使用上の注意点は動画で確認をお願いします(外箱のQRコードから読み取ってください)

TMSは外用後4時間以内に75%が頭皮から吸収されるため、少なくとも最初の4時間は洗髪を避ける必要があります。また、頭皮が湿っている状態よりもドライヤーで髪を乾かしてから外用することをお勧めします。男女ともに5%TMSを1日2回外用することが推奨されており、5%TMSの女性に対する有効性と安全性は証明されています。TMSにはプロピレングリコールが含まれているため、かぶれを起こす場合があります。もしかぶれを起こした場合は医師にご相談ください。開始後4~6週で一過性の脱毛が起こることがありますが一時的な現象です(むしろ良い兆候と考えてください)。効果が現れるまで約4カ月程度かかり、6~12カ月でピークに達し、使用を中止すれば4カ月程度でもとに戻ります。なおAGAおよびFAGAの治療において中止後も効果が永続するものは1つもありません。

  1. 左右対称になるように頭頂部に髪の分け目を作り、分け目に沿ってTMSを塗布
  2. 中央部の分け目から右側(または左側)2cmの位置に新たに分け目を作り、分け目に沿ってTMSを塗布
  3. さらに外側へ2cmの位置に分け目を作ってTMSを塗布

上記の順序で頭皮を合計5分割してTMSを塗布することで頭頂部全体をカバーすることができます。

Key Points

①1日2回正しく外用することで高い効果が得られる

②頭皮を5分割して外用することで頭頂部全体をカバーできる

(文献1)Olsen EA et al. Summation and recommendations for the safe and effective use of topical and oral minoxidil. J Am Acad Dermatol. 2025;93:457-465.

ミノキシジル内服の有用性

ミノキシジルの外用は発毛剤の世界標準です。ほぼ全ての脱毛症に有用と考えられます。2017年の診療ガイドラインではミノキシジル外用は推奨度Aですが、内服は推奨度D(行うべきでない)となっています。外用と内服は推奨度が正反対です。その背景として、内服薬は海外でも認可されておらず、有効性と安全性が確立されていないことにありました。しかし、2021年の海外の総説論文では検証が不十分ではあるものの、ミノキシジル内服は忍容性のある効果的な治療法であると述べられています(文献1)。忍容性とは医薬品の副作用をどの程度まで許容できるかを示すものです。

ミノキシジル内服の主な副作用は、全身多毛、立ちくらみ、動悸、頭痛、顔面/下肢浮腫などです。近年の報告でミノキシジル内服の有効性と安全性が示され、投与中央値は男性2.6mg/day女性1.1mg/dayと報告されています(文献2)。別の論文では男性では1日1.25mg~5mg 女性では1日0.25mg~2.5mgが推奨されています(文献3)。男女差というよりも体重差によるところが大きいと考えられ、特に日本人女性の場合はより少量にする必要があります。当院では長期安全性の観点から2.5mg錠をお勧めしています。女性にとって体毛が濃くなる副作用は困りものですが、早く結果を出したいなら3~6ヵ月程度ミノキシジルを内服し、その後中止しても良いと考えられます。ただし、心疾患がある人や70歳以上ではリスクが大きく、外用薬にとどめておく方が無難でしょう。なお、ミノキシジル内服薬には国内製は存在せず、海外製(国内未承認薬)のみとなるため医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。ご希望の方は同意書をダウンロードの上、必要事項を記載して持参ください。

Key Points

①ミノキシジル外用は有効性と安全性が確立されており、第一選択として推奨される

②ミノキシジル内服は強力な発毛効果があるが全身性の副作用に注意が必要である

(文献1)Randolph M, Tosti A. Oral minoxidil treatment for hair loss: A review of efficacy and safety. J Am Acad Dermatol. 2021;84:737-746.
(文献2)Vañó-Galván S et al. Safety of low-dose oral minoxidil for hair loss: A multicenter study of 1404 patients. J Am Acad Dermatol. 2021;84:1644-1651.
(文献3)Villani A et al. Review of oral minoxidil as treatment of hair disorders: in search of the perfect dose. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2021;35:1485-1492.

洗髪のしすぎに注意

日々の診療を通じて髪が細い女性が多いことに気がつきます。薄毛を改善させるには髪を「増やす」「太くする」この2つしかありません。薄毛に悩む若年~中年女性はほぼ例外なく髪が細いです。意外と見落とされがちですが、髪の本数(密度)よりも太さの方が重要であることが報告されています(文献1)

なぜ現代女性(特に日本人女性)は薄毛に悩まされるのでしょうか。その答えの1つは洗髪のしすぎにあると考えられます。多くの女性は1日1回洗髪しているでしょうが、日本人だけの習慣と言われています。例えばフランスでは洗髪は週2回程度であり、毎日洗髪するのは世界的に見ても当たり前の習慣ではありません。必要以上に洗髪をすることは天然保湿因子を洗い落してしまい、髪や頭皮を痛めてしまいます。本来ヒトの髪や皮膚は石鹸やシャンプーで洗うことを想定してできていません。また洗髪後のドライヤー、ヘアカラー、パーマなどが追い打ちをかけます。髪を牽引するような髪型も持続的な炎症を引き起こす原因になります。頭皮の炎症が長引くとヘアサイクルが短くなり、髪が細くなると推察されます。

各メーカーはシャンプーが売れなくなると困るため「天然うるおい成分配合」「育毛成分配合」などと毎日の洗髪を推奨するわけですが、あまりお勧めできません。とはいえ毎日の洗髪を突然止めるのは抵抗があるでしょう。そこで1つの提案として、シャンプーを使った洗髪は2日に1回程度にし(ゴシゴシ頭皮を洗わない)、シャンプーを使わない日はぬるま湯で優しく洗髪をすることをお勧めします。髪や頭皮を痛めるような強いマッサージ、ヘアカラー、パーマなどはほどほどにしておきましょう。過剰な頭皮ケアを止めることは自身のポテンシャルを引き出す方法です。節約効果もありますし、副作用のないおトクな薄毛対策と言えるでしょう。

(文献1)Ishino A et al. Contribution of hair density and hair diameter to the appearance and progression of androgenetic alopecia in Japanese men. Br J Dermatol. 2014;171:1052-9.

Key Points

①薄毛治療では髪を「増やす」よりも「太くする」方が重要性が高い

②過剰な頭皮ケアは髪や頭皮を痛め、髪が細くなり薄毛の原因になりうる